第4章ケイウノでしか生み出せない
究極の輝きが誕生
生まれたのは110%以上輝くダイヤモンド
地道な研究は、実を結びました。「ブリリアンス(明るい白い光)」は従来比約100%のままを維持しながら、「ファイア(虹色の光線)」「スパークル(フラッシュのような光)」が従来の120~130%になるカットを導き出したのです。平均すると高品質のエクセレントカットよりも110%以上輝くダイヤモンド。それが、今ケイウノで提供している『Premium LovingHeart(プレミアムラビィングハート)』です。実際に高品質のエクセレントカットと見比べたとき、色とりどりの虹色の光と、キラキラッとしたきらめく閃光がとても強いダイヤモンドが誕生しました。
オリジナルカットながら、世界基準を満たした上でのもの
「ケイウノが独自で研究をして導き出したプロポーション」というと、一般に認められていないカットなのでは?と思う方もいますが、プレミアムラビィングハートは全て米国宝石学会の鑑定基準の検査では最高評価の「トリプルエクセレント」の評価が付きます。今一般的に普及しているカット基準は、米国宝石学会の定めた5段階で評価されています。研磨されたものを検査し、決められた理想の形にどれだけ近いか、どれだけ誤差があるか等を確認します。“この範囲の誤差ならばトリプルエクセレント”という基準があり、検査をしながら、「これは完璧な理想形だ」、「うーん、ぎりぎりトリプルエクセレントの範囲内」、「ここまで誤差があるものはグレードダウン」といったようにグレードに当てはめられていくイメージです。ケイウノが独自で導いたプロポーションは、米国宝石学会の許容範囲に対してさらに40%近く許容範囲を厳しくした中にあります。例えですが、米国宝石学会基準では“10ミクロンならズレてOK”とされていたとしても、ケイウノは独自に“いやそこは6ミクロンしかズレてはだめ”というような基準でカットしているイメージです。そのケイウノのカット精度は、髪の毛の27分の1程の差を手作業で極めていく世界。国際基準の規格を守りながらも「輝き」を最大化したのが、ケイウノ独自の技術です。
ひとつの原石から生まれた、ふたつみっつのダイヤモンド
相庭は、ダイヤモンドに触れる中で、手にしている原石が持つ歴史と重みを感じていました。ダイヤモンドは地球奥深くのマグマの中で結晶化した炭素。何億年も結びついていた結晶は、長い旅を経て人の手にたどり着きます。原石の形によっては、ひとつの原石からふたつ、みっつをカットすることも出来ますが、通常は効率化のため大きなサイズと小さなサイズを加工する工場が分かれており、バラバラに流通していきます。何億年もひとつだった原石が、別々の道を歩むのです。しかし、ケイウノは自社で原石からカットしているからこそ、それぞれが離れ離れになることなく一緒のままお客様のお手元へお渡しすることができます。“それをもし大切なひととお互いに持ち合えたら、強い結びつきを感じられるのではないか?大きなものは婚約指輪に留めて、小さいものを結婚指輪に留めるのもいい。「絶対に離れない」「ずっと一緒」そんな意味合いを込めて身につけられたら素敵なのでは?”そう考えて生まれたのが、『Two as one Diamond(トゥーアズワンダイヤモンド)』『Three as one Diamond(スリーアズワンダイヤモンド)』です。実は小さいサイズを同様の加工方法でカットすると、大変な手間がかかってしまいます。それでも、ダイヤモンドを買うときに“ただ高いもの”を買うのではなく、その強い結びつきを感じられるようになったら、きっと一生の宝物になるはず。ケイウノが大切にしたいのは、そういった特別な想いでした。
次に生み出したダイヤモンドはミッキーシルエット
何か他にはない特別なカットを生み出せないか?そう考えて生まれたのが、ミッキーのシルエットが浮かぶ「SweeTrick Diamond®(スウィートリックダイヤモンド)」です。ケイウノは2010年からディズニーモチーフのデザインを手掛けています。ミッキーマウスにもダイヤモンドにも「永遠」という共通のテーマがあり、それらが結びついたらすごいダイヤモンドになるかも!と考えての開発でした。
当初は、ダイヤモンドを3つ丸のシルエットにカットすることを構想していました。相庭にとってそのカットは難しくないことでしたが、くぼんでいる部分は光の通りがどうしても少なくなってしまい、あまり輝かないことがわかります。“綺麗でなければ意味が無い!”と「輝きとの両立」に注力し、再度様々な形を考えては検証し、ドーム状の天面に3つ丸が浮かびがるカットを生み出しました。このダイヤモンドにつける面の数は、1ピースあたり247面。通常のラウンドブリリアントカットの57面の4倍以上。ひとつの面はシャープペンシルの芯の半分ほどの極小の世界で、職人の手作業で丁寧に面をつけていきます。細かく緻密な作業が好きで、慎重で根気強い日本人ならではの職人気質あってのダイヤモンドです。全体のシルエットは丸い形なため、一見ミッキーがいることには気づきません。よく見るときらきらの輝きの中にミッキーのシルエットが浮かび上がります。そのさりげなさが好評で、婚約指輪にも選びやすい、大人が愛せるダイヤモンドになりました。
第5章特許取得と、続く開発
多様なカットへの挑戦
「SweeTrick Diamond®(スウィートリックダイヤモンド)」で使用しているカット技術は特許を取得し、さらなる進化を目指して、今もなお新しいダイヤモンドカットの開発を続けています。自社研磨の道を開いた相庭は2014年、自身の婚約者へオリジナルカットのダイヤモンドで婚約指輪を贈りました。「四角」と「丸」の間のようなシルエット。テーマは、“丸いあなたと四角い私”。お互いの性格を一つにしたらどんな形になるだろう?というところからデザインしたカットは、世界でたったひとつの特別なダイヤモンドになりました。面の形の中にさりげなく“四葉のクローバー”のシルエットを取り入れたことも、こだわりのひとつです。
- OrderMade Diamond ~Fortune Clover~
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ダイヤモンドの新カット2デザインを発売
その後、相庭だけでなく研磨チームでの開発を進め、2017年には171面体の7つの星をデザインした「CLARUSSTELLA(クララステラ)」と121面体の螺旋状デザイン「TERRA MUNDUS(テラ・ムンドゥス)」を発売しました。
<星のデザイン「CLARUSSTELLA(クララステラ)」>
中央の大きな星とその中にひそむ小さな星、そしてそれを囲む5つの星を配置したダイヤモンドカットです。星には、“希望”や“ひらめき”“願いの成就”等の意味合いがあります。古代では星で方位や季節を調べる等、生活をするうえでなくてはならないものであり“導き”を意味するものでもありました。名称は、ラテン語で「澄んだ」「清浄な」「明るい」「鮮やかな」などのCLARUS、同じくラテン語で「星」を意味するSTELLAを合せた造語です。面構成はとても細かく、隣り合う面にもほぼ角度差が無いことから高難度なデザインでしたが、技術にこだわるケイウノとして研磨を続け、このカットに成功しました。
<螺旋状のデザイン「TERRA MUNDUS(テラ・ムンドゥス)」>
研磨チームが「普遍的な美しさとは何か」と考える中で、黄金比や対数螺旋、フィボナッチ数列といった自然界にも存在する法則性をヒントに生み出しました。自然界にある螺旋状のものは小さいものでは人体のDNAから、大きなものは宇宙の銀河系の渦巻き銀河まで様々存在しています。そんな自然界の不思議な法則と地球が生んだ奇跡の結晶ともいえるダイヤモンドが結びついたらとても素敵なのではないか・・・そんな想いからデザインされたのがこのカットです。ブリリアントカットに近いバランスのため輝きも強く、特に虹色の光「ファイア」が綺麗なダイヤモンドになりました。“自然界の神秘をダイヤモンドの中に感じてもらえたら、見る人をひきつけ渦の中に吸い込まれるような魅力的なダイヤモンドになってもらえたら”というケイウノの研磨職人の願いが込められています。
おわりに
婚約指輪にダイヤモンドが用いられるようになったのは、中世後期のヨーロッパ。その時代から、人々はダイヤモンドの圧倒的な「強さ」と「美しさ」に魅了されて、一世一代の想いを伝える手段にダイヤモンドを用いてきました。そこに生きる伝統を受け継ぎ、そして、新たな発見を通じてより深い喜びと感動を生み出す。それが、ケイウノの目指す世界です。