『唯一無二のジュエリーを作り続ける挑戦が
 高い技術力を育てる』

CRAFTSPERSON
地金課 地金係

渋谷 光彦 Mitsuhiko Shibuya
2008年入社

業務の役割、仕事内容は何ですか?

金属になったジュエリーの磨き、整形、溶接、石留めなど、ジュエリーとして完成させる最終段階を担当しています。職人経験も長いことから、ジュエリーの原型製作段階から、提案や加工の指示出しをすることもあります。
特に高難易度や取り扱いに十分注意が必要な石留めが得意です。例えば、お客様がお持ち込みいただくリフォーム希望のジュエリーの宝石には、ヒビが入っていたりかけていたりするものもあります。あと少しで破損してしまいそうな状態の大切な形見のエメラルド、他社では断られてしまったヒビだらけのインカローズ…それらにはお客様それぞれのエピソードが込められており、替えがきかない大切なお品物です。失敗が許されないその石留めを社内の職人の中でも自分に任せていただけることが多く、誇りを持って加工をしています。

仕事をする上で求められる姿勢やスキルは何ですか?

“お客様に特別な感動と喜びを贈り続ける”この言葉に尽きると思います。ジュエリーがお客様のお手元に届き、それを初めて身に着けたとき、喜びを感じていただけるだろうか。それを美しいと感動していただけたとして、1度だけでなく身に着ける度、見つめる度にその思い出を呼び起こしていただけるだろうか。そんなことを考えながら製作をしています。その実現のために、気づきや心配り、アイディア、発想力を大切にしています。美しさ、ニーズ、耐久性機能性、想い、それら全てを叶えるジュエリーを製作することが私の使命だと思っています。

仕事をする上で困難なことは何ですか?またそれらにどう挑んでいますか?

オーダーメイドという、世界にひとつだけのジュエリーを作り続けていますので、前例のないことに挑戦し続ける難しさがあります。
ケイウノは伝統技法から最新技術まで幅広い加工ができる職人が在籍しています。そのため、通常のジュエリーショップでは難しい、木目金、色彩樹脂、七宝等もデザイン・製作することができます。Noと言わない精神であるからこそ、デザインの可能性は無数に広がっていき、時には常識から外れた選択をしたり、新しい加工方法を発見したりすることも必要になります。そのようなデザインが生まれたときは、各分野のスペシャリストが、自分が持つ最大限の知識と技術を出し合い、ベストな加工方法を見つけ出します。知識や技術を総動員し、挑戦し続ける日々に難しさは感じますが、常に加工の可能性を発見できる素晴らしいことだとも感じています。

仕事のやりがいや面白さはどんな点にありますか?

技術面だけではなく、精神面でも成長が実感できるところです。技術面についてのやりがいは、オーダーメイドで日々新しいデザインと向き合うことで、目の前のデザインに対し、常に最適な加工方法は何か、考え実行できることが自分の成長に繋がることです。精神面では、技術が向上していくにつれ、いつの間にか物事や周囲に向けた考え方が変わってきたことに気づき、やりがいを感じています。磨きしかできなかった1~2年目は自分のことで精一杯。金属の溶接を覚えた3年目は磨きを後輩に伝授。石留めができるようになり、ひとりでジュエリーを完成させられるようになった4年目では、より高みを目指す。そしてやがては地金職人の枠を超え、部署を超え原型の職人とも連携し、新しい加工方法や仕組化を考える。目の前の技術向上だけでなく、後輩の成長や会社全体への貢献にも考えが及ぶようになり、2つの視点でやりがいを感じています。

なぜケイウノを選んで入社しましたか?

以前は他社で既製品のジュエリーを作っていました。不特定多数に向けた商品作りの日々の中で、やはり一人ひとりのお客様に想いのこもった品物作りをしたいと考え、オーダーメイドジュエリーであれば、その想いが実現できると感じ、ケイウノへ転職を決意しました。

入社してから、どんな点において成長しましたか?

技術についてはある程度のところまでは前職で身に付けていたのですが、ジュエリー一つひとつへの向き合い方を理解するまでには時間がかかりました。私たちが作るジュエリーは単なるモノではなく、全て異なる想いが込められた宝物です。宝物を生み出すためには、ジュエリー=お客様そのものだと考え、お客様と対峙するのと何ら変わらない姿勢で向き合うべきだと思うようになりました。そして、そういう想いで加工できる人を育てるということに使命感を覚えるようになりました。

将来的にどう成長していきたいですか?

周囲をイキイキと活性化させるような雰囲気を作り、モノづくりの楽しさと厳しさが両立する加工現場を盛り上げていける職人に成長したいです。そのために、加工指導をする際は前時代的な叱りながら教える方法ではなく、楽しく技術習得できるよう、明るい雰囲気での指導を心がけています。ただ優しいだけの指導ではなく、相手によって伝える視点や言い方を変化させ、理解できているのか確認しながら指導することも大切にしています。また、声をかけやすい雰囲気を作るために、自分からも積極的に後輩に話しかけています。例えば、普段見ないような豪華なデザインのジュエリーが完成したときは、工夫したことなどを説明しながら後輩たちにも見てもらうようにしています。こうすることで話しやすい雰囲気を生み出せればと思うのと同時に、ジュエリー製作への関心を高めてもらえたらいいなと思っています。

1日の仕事の流れ

9:00~
出社、朝礼、清掃、加工準備
9:30~
加工
13:00~
休憩
13:45~
加工、後輩からの相談、アドバイス
15:30〜
休憩
15:45〜
加工、店頭からの加工相談対応
19:00
1時間残業し退勤

ケイウノの良いところを教えてください。

お客様の喜びにやりがいや充実感を感じるなら、成長できる環境が整っているところです。ケイウノは技術力の育成に力を入れており、分かりやすい指導方法が確立していますし、過去の加工事例等をまとめた資料が充実しています。「見て倣え」といった環境ではなく、一人ひとりに合った成長計画を本人とも相談しながら組み立てて実行していく環境です。育成においてもオーダーメイドの考え方が浸透していると感じます。

ケイウノに向いている人はどんな人だと思いますか?

貴金属を加工する職人に限って言えば、“手先が器用”“モノづくりが好き”“お客様に喜んでもらいたいという気持ち”この3点があれば大歓迎です。技術は後から身に付けることはできるので、専門的なジュエリー加工の経験は全くなくても心配ありませんが、小さなころから手先を使って物を作ることが好きで、実際に作ってきたという経験はとても重要です。「自分が作った物で人に喜んでもらったことが嬉しかった」という原体験からケイウノの職人になったという人がたくさんいますので、同じような経験をお持ちの方には是非ケイウノの門を叩いていただきたいと思います。

上司から見た渋谷さん

渋谷さんは圧倒的な技術力で現場を牽引してくれている方です。石留めの技術は、精度が高く且つスピードも速く、社内でもトップクラス。職人として目標とされる存在です。一見落ち着いていて物静かな印象ですが、“ジュエリーやケイウノの技術とはこうあるべき”という熱い想いを持っており、その気持ちを持って自分が加工するだけでなく、他の職人も美しく速く作れるような加工方法を発信してくれたり、石留めチームのトレーナーとして指導に当たってくれたりもしています。引き続きその高い技術力と熱い気持ちで、多くの後輩を育成してくれることに期待しています。

後輩から見た渋谷さん

石留め加工において渋谷さんの右に出る人はいません。私から見た渋谷さんは石留めの神様のような存在です。普段は寡黙でカッコいい先輩ですが、たまに見せるお茶目な一面があり、そのギャップが魅力的です。渋谷さんから教えてもらったことはたくさんありますが、私が加工を始める際に常に思い返すのが「まずは完成形を想像する。完成形を作るためにどのように手を動かすかを考える」ということです。完成までの作業を一つひとつ分断したものと捉えて、作業しては次をどうするか考えるのではなく、まずは完成形を想像し、それに向けて自ら感じ考え、最善な加工方法を見極めて加工することが、オーダーメイド品を担当する職人として、技術を上達させる近道であると学びました。渋谷さんは、加工の難易度が高い大きくて割れやすい石でも本当に綺麗に留めることができます。私もいつか渋谷さんのような加工者になりたいと、心から思える憧れの先輩です。